− 2005・衆議院議員選挙報道 徹底比較−


今回も民放こぞっての選挙戦線が繰り広げられました。
前回の参議院議員選挙の模様こちらにあります。


各放送局の番組タイトルは、

FNN: 総選挙2005 SENKYO WARS
ANN: 選挙ステーション2005
NNN: バンキシャSP 激選!
JNN: 乱!総選挙2005
TXN: ザ・決断!世紀の決戦 でした。

出口調査による「予測獲得議席数」です。
出口調査は系列・地方局によっては、
新聞社と共同で実施している場合があります。


予測 自民 民主 公明 共産 社民 無他
確定 296 113 31 9 7 24
TXN 307 106 32 8 6 21
NNN 309 104 33 9 7 18
JNN 307 105 34 8 6 20
FNN 306 104 33 9 7 18
ANN 304 104 33 10 8 16


今回の議席予測は、各局ともに自民が「305前後」
民主「105前後」という似たような予想でした。
ここまで予想に差がないと、速報を見比べるという面白味がないです。
結果的には、民主がもう10議席ほど健闘しまして、
各系列とも結果とは10議席ほど外れる結果となりました。



当確数の時間推移をみていきます。

下の票は各系列が画面下に表示している議席獲得数を、毎時00分±5分の間に
福岡・熊本・佐賀の各テレビ局にて、肉眼で確認したものです。
どの系列が当確を打つのが早いかが分かります。


21時 自民 民主 公明 共産 社民 無他 残り
TXN 115 24 7 0 0 3 331
NNN 81 34 8 1 0 2 354
JNN 102 39 10 1 0 2 325
FNN 123 50 22 2 0 2 298
ANN 171 50 22 4 2 3 228
22時 自民 民主 公明 共産 社民 無他 残り
TXN 167 41 11 1 0 5 255
NNN 168 41 13 1 0 4 253
JNN 175 45 18 2 0 3 237
FNN 183 49 21 3 0 5 219
ANN 192 53 24 4 2 6 199

23時 自民 民主 公明 共産 社民 無他 残り
TXN 202 56 17 1 0 8 196
NNN 196 49 13 1 0 10 211
JNN 194 57 21 2 0 8 198
FNN 206 59 21 3 0 8 183
ANN 222 67 25 5 2 12 147
24時 自民 民主 公明 共産 社民 無他 残り
TXN 247 78 22 3 1 20 109
NNN 243 77 20 3 1 7 119
JNN 251 80 24 5 3 20 97
FNN 253 81 26 5 3 18 94
ANN 270 99 28 7 3 21 52


ご存知のとおり、速報は「当選」ではなく「当選確実」ということで、
後半の追い上げで当選確実が取り消されてしまうこともありますが、
今回は東京都北区の投票所が、間違った中間集計結果を公表したことや、
自民の関東比例名簿人数が不足したことなどから、ちらほらと訂正放送がありました。
また一部の早刷り朝刊においても、当選していないのに当確となっている間違いや
当選したのに、間に合わず当確が打たれていない候補があったようです。


今回もやはり一番先行して当確を打っていたのは「ANN」です。
わりかし「NNN」は慎重に当確を打っていることが分かると思います。
衆院選は改選議席数が多いので、如実に各系列の慎重さが現れますね。

さて北部九州の開票速報ですが、福岡は激戦区が多いとあって、
ほとんどがローカル出しな為に、キー局の映像をあまりじっくりと見ることができませんでした。
久米宏がTBSの選挙報道に加わるということで、注目していたJNNですが、
RKBやRKKのローカル出し割合がかなり多く、じっくり見れなかったのが残念です。
ANN・FNNに関しては、福岡・熊本のどちらかの放送局かで補完できている状態でした。
その点TXNは、ローカル時間帯が明確なのと、BSでの補完ができるので有難いですね。

今回の在福民放は「KBC」だけが「福岡と佐賀」の選挙区について報道していました。
FBSは多少触れはするものの、KBCに比べて弱めで、TNC・RKBに関しては一切触れていません。

NTTの中継回線ですが、今回はJNNのネット回線が下りに回っていました。他ですが
佐賀で見れる素材回線のうち1chは空き状態で、もう片っ方はKBCとKSB用の素材回線として
福岡・佐賀・岡山・高松の候補の、事務所の映像が頻繁に送られていました。
KBC・KSB以外は、たまにUMKの朝日系用?の素材送りとしても使われていたようです。
今回が、おそらくNTT中継回線光化前の最後の選挙だと思われますので、少し感慨でした。


議席数 自民 民主 公明 共産 社民 無他
選挙結果 296 113 31 9 7 24
解散時 212 177 34 9 5 43
増減 +84 64 ▲3 0 +2  -



(ここから先は私情が入っておりますので、無党派層の方のみお読みください)



今回の選挙の総括としては、自民の大勝と民主の惨敗ですね。
小泉首相のメディア戦略に関しての大勝利ともいえると思います。
郵政法案審議中にテレビに映し出されていたのは「自民」の候補でした。
そして、選挙期間中をも刺客候補だ何だのといって、結局は「自民」の候補だけが、
画面の話題をさらっていき、「民主」が話題になることはありませんでした。
何も話題に上らなかったという意味で、「民主」の惨敗は明らかですね。

佐賀地区は、前回は民主候補が当選しましたが、今回は自民候補が当選しました。
佐賀1区の民主候補は人気がありまして、前回はその人気だけで選挙戦を勝ち抜き
農政などの地盤を持つ自民候補を、破っていたのですが、今回は無理だったようです。


得票数 前回 今回 前回差
自民候補 66446 84463 +18017
民主候補 70271 75449 +5178
共産候補 4977 8029 +3052
社民候補 8315 不出馬
合計 150012 167941 +17932
佐賀1区 得票比較


これを見てもらうと分かりますが、票数は減っていないんですよ。
すなわち、いつも選挙へいく人の票は、あまり変わっていないと考えられます。
では何が追い風だったのか・・・それは、前回比7%も伸びた投票率ですね。
以前は民主に吹いた無党派層の風が、今回は自民に吹いたことになります。

前回の衆院選と同様、今回も死票に関する問題が浮上しています。
前回の選挙では、比例区で民主票が自民票を上回りました。
100%の多数決主義なら、前回選挙の時点で民主が政権取れるはずだったのです。


政党 得票率 議席数
自民 50% 24
民主 36% 1
東京選挙区比較


そして今回、東京都だけを見ても「30%」を超える死票が出ていることになります。
小選挙区で当選者が続発すると、比例区にも1議席の空きができるわけですから、
小選挙区の勝利は、比例区と合わせると2議席分の勝利とも考えられます。
こう考えた場合、小選挙区での負けは2議席分の負けということになります。
死票が多いという点で日本の選挙制度も「ALL or NOTHING」に近いものがありますね。
しかも比例名簿に載っている人すべてが当選するなんていうのも
前代未聞です。特に政治理念ない人が、とりあえず名簿の最後に名前を書いたら
当選しちゃったなんてことも頻発したようで、公職選挙法の欠陥が問われますね。


与党野党が同じくらいの議席数が、互いを監視できて理想なんですが、
今回のように衆議院を与党が2/3占めてしまうと、日本の政治のシステム上
やりたい放題です。憲法改正だけでなく、どんな法案でも通過させられますね。
参議院がまったく意味をなさなくなってしまうというのも懸念するところであります。
財政問題・年金問題と、破綻しかけの日本の行く末やいかに。


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