海がきこえる

著者: 氷室冴子

(徳間書店・徳間文庫刊)



●ストーリー●

大学1年の夏、杜崎拓は故郷高知に帰省した。親友・松野と里伽子のわだかまりも解け、

気分よく東京に戻った拓の部屋に、年上の女性、津村知沙が入り込み泥酔し寝ていた。

「その年上の女、たたるぞ」という松野の言葉が拓の脳裏に甦る。不倫の恋に傷ついた知沙。

離婚した父とその再婚相手との間で傷つく里伽子。どうしたら人は人を守れるのだろう?

さまざまな思いと痛みが交錯しながら拓は東京ではじめての冬を迎える写真の里伽子を見ているうちに、

いくつかの里伽子がいるシーンが甦ってきた。高3になって同じクラスになったことや。

ゴールデンウィークの小旅行や。ふたりで泊まったホテルや、いろんなことを。ぼくにはわりに楽しかったり、

驚いたりもしたいくつかのことも、里伽子には、なんの意味もなかったわけだな。それはなんだか、

すこしばかり淋しいことだった。ぼくはそのとき初めて、里伽子をすごく好きだったことに気がついて、

とりかえしのつかないような気持ちになった。



 ストーリーの内容を書いてみましたが、これだけじゃパッとしませんね。ジブリ作品の中では余り知られて

いない方ですが、スタジオジブリの若手製作班と称する、望月監督等によってアニメ化されまして、

93年のゴールデンウイークに日本テレビの「進ぬ!青春少年」で放映されました。また95年には、

武田真治初主演クリスマススペシャルドラマとかにもなった作品です。そして99 年の7月に

「スタジオジブリコレクション」として、BVJからビデオが再発売されたので、見た人もいるんじゃ

ないかと思います。


 著者は今の王道を行く、大衆文学作家の氷室冴子氏です。複雑なラブストーリーなんですが、

アニメの「海がきこえる」を見ますと、その後の展開がかなり気になるんですよね。

だから、ビデオで出てます「海がきこえる」を見てから、「海がきこえる2」を読むと、

一種の完結が出来ると思います。ちなみに第1巻の方は、映画のノベライズになってます。




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