第2回
VHFやUHFといった地上波のテレビ放送で使用される周波数は、
AMラジオなどに比べて周波数が大きいので、波長が短いです。
波長が短いってことは、電波が比較的まっ直ぐに飛ぶんですね。
だから放送局の送信アンテナと、家庭の受信アンテナを直線で結んだ時に、
山やビルなどといった障害物があると、電波が遮られたり衰たってしまいます。
そんなときに家庭の受信アンテナを高くすると、受信状態がよくなることがあります。
特に住宅地では、低い位置にアンテナを設置すると、周りの住宅に遮られる事が
考えられますので、ほとんどが屋根の上などで受信されていると思います。
地上波の中でも波長の長いVHFやFMラジオは、もし何も障害物がなかった場合、
アンテナの高さに比例して受信状態がよくなるとまで言われています。
都市部や地方などで共同視聴アンテナなどを利用している地域では、
アンテナを高層アパートの屋上や、山の上などに設置しているところが多いですよね。
見通しが良ければそれだけ受信状態は良くなると考えていいと思います。
実際に佐賀市内の建物2Fから、NIB 長崎国際テレビの受信をしてみました。
海抜は4m程度と、かなり低いです。
使用アンテナ: ミニー 全帯域対応 UHF20素子アンテナ
使用受信機: SONY CCD-RV200
1Fで受信したところ、全く受信できませんでした。
局方向に4F建ての別のビルがあります。
ちなみに当地で良好に受信できるはずの福岡波久留米局(九千部)も
ほとんど受信できませんでした。
↑2Fで受信した映像です。ズームイン朝を放送しています。
時刻表示字幕がはっきりと見えません。
九千部の福岡波は比較的綺麗に受信できるようになりました。
↑3Fで受信した映像です。
2Fと3Fで高さは3m弱しか変わらないはずなのに、
2Fで受信した映像と比べると、受信状態は雲泥の差です。
九千部の福岡波は快適に受信できます。
送信アンテナについても、アンテナ設置位置が高く、出力が大きい局は
遠距離受信などでは狙いやすくなっています。
例えば、但馬の香住局や、岐阜の中津川局、筑後の久留米局などは
設置位置や出力が高い事から、中継局という存在でありながら、
周辺地区の遠距離受信対象になっています。
送信出力に対して、受信点の強度(電界)は平方根に比例します。
地形や気候などによっても変わりますので、一概には言えませんが
送信出力が2倍になると、受信点の電波強度は√2倍になるようです。
今までは「ただ高くすればいい」みたいな事を考えてきましたが、少し発展させます。
もう一つアンテナを設置する場合に注意したいハイトパターンという現象があります。
地面からの高さによって、受信状態が規則的に良くなったり悪くなったりするんです。
一般的にテレビの受信アンテナを立てた時に、下記のような2種類の電波が届きます。
送信アンテナから、大気を通してダイレクトに受信アンテナに届く電波(直接波)と、
送信アンテナから、地面や海面に反射して受信アンテナに届く(反射波)です。
この2つの波は、実際に辿ってきた距離が違いますよね。
そのせいで反射波の位相が、直接波に対してズレてしまいます。
微妙な距離の違いで位相は変化するんですが、2つの波が受信アンテナの時点で交わる時、
2つの波の位相が合っていると、互いに強め合って強く受信できるんですが、
位相が反対になっていると、打ち消しあって消えてしまうんですね。
地上からの高さによって、反射波が実際に辿ってきた距離が変わりますので、
地面からの高さによって、電波の強さが変わるという現象をハイトパターンといいます。
このハイトパターンのインターバルは波長に比例します。特にUHFの場合は、
このインターバルはVHFに比べて短くなります。VHFの場合はあまり関係ないかもしれませんが、
UHFは約10m以内の間隔でこのようなことが起こるので、
多少のアンテナの上下で、受信状態が変化する可能性があります。
またゴーストも反射波が影響していますので、アンテナの高さを変える事で、
直接波と反射波の合わさり具合が調整される事があり、ゴーストが軽減する場合もあるようです。
個人家庭でテレビを受信する場合は、アンテナを高さを高くするのにも限度があると思います。
少なくとも左右方向を調整する事に合わせて、上下方向も少し調整してみるのもいいと思います。
UHF=13〜62ch / VHF=1〜12ch
*引用画像について*
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このページの画像のキャプチャ元は「NIB 長崎国際テレビ」です。
NIB 諫早中継局(24ch)で受信したものです。